報恩感謝に祭る(心が行いに表れる)

㉖報恩感謝に祭る(心が行いに表れる)

株式会社德風會・祭祀研究所 代表取締役社長 竹谷泰則

 お墓の建立は、あくまでも先祖供養の一過程であり、「吉相墓」を建立して「ご先祖様への感謝の心を形にしたから、これで終わり。」というわけにはいかないのです。
 墓はたんなる石ではない、自分の親であり、ご先祖様であり、人である。建立された石塔は、ご先祖様を顕現(けんげん)したものである。
 「吉相墓」は、ご先祖様に対する感謝の心がお墓に反映してこそ、「吉相墓」としての意味をもつようになるのです。
 「吉相墓」を単なる‟開運の塔”として所有して幸福を望むだけで、手を合わさず、掃除もしないて粗末に扱ったら‟心の相が悪く”良い結果をもたらさない道理はおわかりになるでしょう。ご先祖様を顕現したお墓を粗末にすることは、ご先祖様を粗末にしていることになります。それではご先祖様の加護を得て、家庭の幸福を得ることはありません。
 「吉相墓」は、日頃から墓参し掃除をして、手を合わせ供養して、常にお墓を清浄な聖域に保つ必要があります。  

 拝礼の作法としては、お墓の正面にしゃがんで拝むように心掛けて下さい。立ったまま手を合わすのは、先祖を見下す姿勢になりますので控えて下さい。
 「親孝行したい時に親は亡し」「石に布団は着せられず」。先祖供養の第一は親孝行です。両親が健在であれば、その両親に苦労をかけないことが、先祖崇拝の骨子です。
 「報恩の思いで、お墓で祭って行くことが、感謝の心を供養という行いの形にして、報恩に回向したということです。」
 先祖の祭りは主婦の勤めです。妻が婚家の先祖を祭ることは陰徳であり、家庭に良いことです。‟お陰様です”と、感謝して正しく祭り、家庭の守護などを願います。
 心は身に表れます。
 先祖供養は親孝行であり、ご先祖様への報恩感謝ですから、子孫はご先祖様に対して“感謝の心と行い”を忘れることがないように、日常の生活においても「吉相墓」を正しく祭って行かなくてはならないのです。

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