⑭午前中の太陽の光が当たること(陽の気を取り入れる)

株式会社德風會・祭祀研究所 代表取締役社長 竹谷泰則

 「吉相墓」は、朝日から正午ぐらいまでの、午前中の太陽の光がよく当たる場所に建立します。
 万葉集には‟朝日照る”という言葉が、墓の枕詞になっていまが、お墓は陰の極みであるから、陽の日を受けなければその家は繁栄しません。陽の日と言うのは午前の日の当たることで、樹木や建物に太陽の光が遮られないような場所に建てます。
 陰陽二元論は「善一元化のための光と闇の善悪の戦いである、善(光、アフラ・マズダ)と悪(闇、アーリマン)に分ける善悪二元論」とは異なります。
 陰は悪ではなく善でもない。陽は善ではなく悪でもない。陰と陽の二つが揃って一つの要素になります。
 原初は混沌の状態であったと。その混沌から光に満ちた明るい澄んだ気、陽の気が上昇して天となったと考え。重く濁った暗黒の気、陰の気が下降して地となったと観る。この陰陽の気の働きによって、天地の事象を観るのが陰陽思想です。  

 陰陽は相反しつつも、一方が存在しなければ、もう一方も存在しない。森羅万象、天地のあらゆる万物は、相反する陰と陽の二気によって消長盛衰し、陰と陽の二気が調和してこそ、自然の秩序が保たれると観ます。
 お墓を風水では‟陰宅”と言いますが、墓相では‟陰の極み”と観て、陽光や白御影石など陽の気を取り入れます。お墓を日陰に建てると、お墓の陰の気と日陰の陰の気が、重なるのでよくありません。
 朝日から午後一時までの陽の日が、樹木や家屋などのために日陰になる墓所は、健康に不安があります。また、東や南に冬に太陽の日を邪魔する高い山が無い場所がよい。「吉相墓」建立後に、霊園に植えられている樹木が育って、墓所に影を落とすなどの環境の変化にも注意して下さい。
○朝陽から午後一時までの太陽が樹木や家屋などのために日陰になる場所
―病人の絶間がありません。
※枕詞(まくらことば)とは、万葉集の頃より用いられた技法で、主として和歌に見られる修辞で、特定の語の前に置いて語調を整えたり、ある種の情緒を添える言葉のことです。

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