⑫自然に還る(遺骨式土葬)

株式会社德風會・祭祀研究所 代表取締役社長 竹谷泰則

 「吉相墓」は、カロート(納骨室)を設置せず、遺骨を石塔の下、もしくは墳墓に埋葬して、早く遺骨が土に還り自然に還るようにします。土葬所と火葬場は遺体の処理場所です。
 亡骸とは、亡くなった人の、魂の抜けた身体のことです。
 亡くなるとは、精神・霊(魂)と肉体(魄)がそれぞれの根源である天と地に還って行く事です。ですから、生者(あるいは死者)が故人の遺骨に執着することは、帰郷を妨げる行為に他なりません。
 カロート式のお墓は、遺骨の保管のためにお墓を建ている。肉体は土に、霊は天に還さなくてはならないと頭では理解していても、もう少し自分のそばに留まっていてほしいと願う気持ちは、人間なら誰もが抱く当然の感情なのかもしれませが、財産や相続に不安が生じます。
 お骨は速やかに大地に還るように、すなわち土になるように、白い布袋に包んだ上で、埋めるのが良いのです。骨壺のまま埋めるたり、骨壺をカロートに保管しても入りきらなくなったり、墓守する人がいなくなり無縁になったら、いずれ土に還さなければならなくなります。  

 最近の小さなお墓は、カロートも小さいので骨壺を少ししか納められないので、下が土になっていて、入りきらないお骨を土に還せるようになっているものもありますが、最初から土に還すのが良いのです。
 お釈迦さんは、お骨(仏舎利)を残し祀られていますが、悟りを開いた特別な方だからです。我々庶民は自然に還した方が良いと考えます。
 埋骨する時に骨壺から布袋に移すのに作法があります。お骨を直射日光に当てない事。傘をさしてか近くの日陰で行う。
 また、四季の土用の期間は、動土・穴掘りなどの土を犯す作業が忌れるので、建墓や埋骨をさける場合が多い。
 「吉相墓」は、石塔を“清墓”として埋葬せずに、墳墓を設けて“埋墓”として、墳墓に埋葬する事が、より良い吉相です。墓所に余裕が取れる場合は、二重枠墳墓を設けて下さい。

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